Amazon で売られている太陽光パネル&LED電球は防災用途に使えるか

私の知り合いに山奥に住んでいる会社経営者がいます。

社長と言うよりも、その道 30 年の職人といった出で立ちで、山の麓の工業団地のちかくに事務所と作業場を構えています。

この経営者が大のつくほどのコンテナ好きで、どこかしらで中古の 20ft コンテナを買い付けてきては、資材置き場や自転車ガレージとして愛用しています。

ただ元が貨物輸送用コンテナなので、通気性は最悪ですし、内部の気温は夏場には 40℃ を軽く越えます。

意外と奥行きがあるので、中に入ると少しばかり薄暗いです。

外壁が金属なので暑い、寒いは仕方ないとしても、せめて、照明ぐらいは何とかならないかなと、太陽光パネルと充電式 LED 電球を購入して持っていったことがあります。


ソーラーパネル LED 充電式 キャンプライト

これなら送電線の届かないコンテナでも繰り返し利用できますし、使い捨てとしても問題ない価格です。

唯一の欠点は充電池の特性として、高温や落下などの衝撃で発火する可能性があることぐらいです。

昨今の災害により停電対策が見直されていることもあり、ふと、これは防災用品としても利用できるのではないかと思い至りました。




なにしろ低価格で始められて、必要なものは揃っているので、導入することは難しくはありません。

パワーインバータ(AC/DC変換回路)もチャージコントローラも別途購入する必要はありません。

付属の Micro-USB ケーブルを使用して LED 電球を充電すれば使用できるようになります。

LED 電球とケーブルの他には、太陽光パネルのみが梱包されています。

日本語の説明書は付属しません。

いろいろ英語としてはおかしいのですが、言いたいことは伝わらなくもないぐらいの拙い英語の説明書が1枚ついてきます(※これを学習教材にはしないほうが良いです)。

それによると


引用開始

Charging with 6V 1.8W Polycrystalline silicon solar panel is optional.

When you use it for the first time, please remember to charge it for 4hrs first.

If solar panel is used for charging, put the solar panel to a location where have direct sunlight and need 8-9hrs charging time.

(原文ママ)

引用終了


LED 電球のほうが本体で、こちらの充電時間は(おそらく)通常の充電器を使用した場合で 4 時間。

太陽光パネルを用いて充電すると 8-9 時間ぐらいで満充電に至るようです(太陽光パネルは使用しなくても充電できます)。

LED 電球は 3.7V/2600mAh のリチウム電池(※公称電圧からしてリチウムイオン二次電池)搭載で点灯時間は 6 時間と書かれています。

それに対して照明の詳細には Power 7W / Input Voltage AC 100-240V/DC 5V との記載があります。

ここから 消費電力 7W 電圧 5V として、これで 明るさ(全光束) 560lm の LED を照らすことになっています。

ん? あれ??? 消費電力と容量からして点灯時間おかしくね? と思いませんか。

いや、まあ、説明書の文章(というか英語)からして、おかしいのですけど・・・

搭載のバッテリーは容量 2,600mAh 公称電圧 3.7V なので 2.6 [Ah] * 3.7 [V] = 9.62 [Wh] ですね?

消費電力 7W の電球の 1 時間あたりの消費電力量はそのまま 7Wh になりますので 9.62 [Wh] / 7 [Wh] を考えても、これ、2時間も持たないんじゃね?🤔という疑惑が湧きます。

7 [Wh] * 6 [h] / 3.7 [V] = 11,350 [mAh] ぐらいが、バッテリーに本来あるべき容量でしょうか。

しかし、この電球はスペック通りに常温では 6 時間にわたって点灯し続けます

怪しいのは消費電力の方ですが、手元に電力量計がないので確認できません。分からないものは、ひとまず置いておくとして、使えるのか、使えないのかで言えば、割と使えます

分かりやすく PETZL ACTIKキャットアイ (CAT EYE) VOLT と比較してみます。

PETZLは登山者に抜群の支持を得ているフランスのヘッドライトで、これさえあれば、新月の夜でも足元まで見渡せるスグレモノです。

キャットアイは自転車用の照明などを製造している日本の企業で、この VOLT 700 は明るすぎるぐらいに明るいことで有名です(現在は後継モデルの VOLT800 が販売されています)。

カタログスペックで見るとこうなります。

光束 質量 点灯時間
ACTIK 350lm 86g 2h
VOLT 700 700lm 256g 2h
この電球 560lm? 6h

これらを暗室に持っていき、三脚に固定されたカメラで明るさを比較してみます。

カメラの設定で差が出ないようにマニュアルモードで、シャッタースピード 1/60 [sec] 絞り値 F/5.6 ISO 1600 に設定も固定しています。

この設定自体に大きな意味はありません。重要なのは設定が自動で変化しないことです。


(1) PETZL ACTIK

まずは 350lm の PETZL ACTIK です。

デジタルカメラは暗所に弱いので、画像だと暗いですが、肉眼で見ている分には十分な明るさです。

なお光量を絞ると点灯時間が大きく伸びます。


(2) CATEYE VOLT 700

つぎに CATEYE VOLT 700 です。いつ見ても凄い明るさです。

この光量では対向車が来る可能性があるところでは使用できないこと、点灯時間が3時間未満になることなどから、通常時には光量を絞って利用します。


(3) 太陽光パネル付き LED 電球

最後に今回の太陽光パネル付き LED 電球です。

LED テーブルランプ(デスクライト)と同じぐらいの光量があります。

部屋が全体的に明るくなるわけではありませんが、光量としては十分に実用的です。

この光量で本当に6時間も点灯が続きます。

電球の方はそれなりに実用性があることが分かったとして、次は太陽光パネルです。

外装はしっかりしている電球に比べると、太陽光パネルのほうは色も大きさも品質も玩具みたいです。

しかし、晴天時であれば屋内のガラス越しでも発電します。

出力端子は Micro USB だけなので、モバイルバッテリや小型の電子機器専用ですね。

この簡易なつくりでも、きちんと充電できることに感動を覚えます。

もちろん、より高価で大型のパネルを使用したほうが発電量は安定しますし、そもそもの品質がまったく異なりますので、防災用品としては微妙なところです(※ キャンプや電子工作に用いる玩具としては文句なしです)。

しかし、値段が値段ですし、これに依存するのではなく、装備品の一つとして持っておく分には悪い選択肢ではないと思います。

最後に多くの人が気になるであろう信頼性ですが、私が購入した個体については今のところ不具合は出ていません。

購入時点においては、日本国内のアマゾンから発送されてきましたので、返品交換対応も大丈夫かとは思いますが、中国から直送されてきたという人がいるというのを聞いても、いろいろ納得できてしまいます。

製品ごとの個体差もあるかも知れません。

信頼性のことを考えると、安心できるのはキャンプ用品メーカーのLEDランタンです。故障したら困る場面で使われることを前提としているので、丈夫なものが多く、保証もしっかりとしています。


コールマン(Coleman) 乾電池式 LED クアッドマルチパネルランタン 約800ルーメン

普段は使わない防災用品にしてしまうことがもったいないぐらいです。

こうした装備品を整えておき、補助的に組み合わせて使用することが理想に思われます。

まとめますと、実際に使用している者の感想としては、それなりに実用性が感じられて良い製品には思えますけれども、信頼性 やスペック情報 は未知数なので過信しすぎない程度に装備として考えておくのが良いと感じます。

関連:太陽光パネルの発電を計測する電子工作

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