ロングライド・イベントの魅力

スポーツ自転車を購入したばかりの頃は、ライドイベントなど自分には縁がないものだと思っていました。

どうして参加費と交通費を支払って 160km も自転車で走行するのだろう。

率直に言って「意味がわからない」とさえ思いました。

そう考えている人こそ、じつはライドイベントに参加することで得られものが大きいです。

なにしろ、それまでの自分の価値観とは異なる世界に赴いて、いままでに経験したことの無い新しいことをするわけです。

自分の経験から言って、ロードバイクを購入して1年ぐらいで、いきなり東京から瀬戸内海に飛行機輪行してイベントに参加したことは正解だったと感じます。

誰も知り合いのいないところに一人で参加することには抵抗を覚えるかもしれませんが、友人と一緒に参加しても 50-200km も走行しているうちに、自分の走力にあった集団に自然と別れるので、一人で参加しても全く問題ありません

むしろ、趣味仲間が増えやすくて、美味しいです。

また、とくに車種制限のない舗装路のイベントであれば、リカンベント、ミニベロ、クロスバイクで参加されていても誰も気にしません

もちろん、ロードバイクの方が完走は楽なので数としては多いですが、どのイベントでも一定数はミニベロやクロスバイクの参加者を見かけます。

そして、イベント前日からゼッケンを付けていると、ほかのイベント参加者や地元の人から話し掛けられやすくなるので、有意義な情報をたくさん得ることができます。




コースそのものもファンライドの魅力です。

地域振興の性格をもったロングライドの場合、通常時には自転車通行できない自動車専用道や広域農道などを特別に使用できる場合があり、そうした場所を自転車で走れる唯一の機会がイベントだったりします。

コース上には一定距離ごとにエイドステーションが臨時設置され、いつもなら飲料水の確保にも困るような山間地でも、万全の体制で向かうことが可能です。

コースになるのも走りやすくて、交通量が少ないところが多いので、経験上、しまなみ海道のような有名観光地よりも、普通の人は誰も知らないような開催地のほうが得られるもの(隠れた絶景スポットや穴場情報)が大きい気がします。

完走すれば記念品も頂けて、非日常的な達成感も得られますし、仮に完走できなくてもサポートカーに救護してもらえるので安心です。

一度、思い切って参加されてみると、ライドイベントの魅力がお分かりになるかと思います。

その一方で、ライドイベントに継続的に参加されていた方が、イベントから離れていくことも珍しくありません。

私も、ここ2年ぐらいは何のイベントにも参加していませんので、参加を辞めた方の気持ちも良く分かります。

イベントから離れた理由は、いくつもあるのですけれども、大別すると走力、天候、コースの3つの要素が大きいです。

50km から 160km ぐらいまで、幾つかコースが設定されているロングライドでは、参加者も数百人から千人以上になります。

これだけの参加者がいると、自転車だけでも道路が混雑して落車に巻き込まれる可能性が高まります

ダウンヒル中にボトルを落とす人がいたり、目の前で接触事故が発生したりと、イベントならではの注意点というのも無いわけではありません。

また、何年も走り込んでいくうちに自然と走力も向上し、大多数の他の参加者との走行速度の違いも意識させられるようになります。

私だって始めたばかりの頃は斜度 9% の坂が崖に見えましたし、それを普通に自転車で登れているほうがおかしいと思いました。

それが年間 6,000km 以上もロードバイクで走り込んでいくと、平坦な道路が退屈に思えてくるので不思議なものです。

こうなってくると、イベント参加者の多くとは走行速度が変わってきますので、先頭近くでスタートできた場合には、最初から最後まで一人で走ることになる場合もあります。




二点目の天候ですが、ライドイベントの多くは雨天中止です。

地元のイベントであれば、週末は他のことに費やせば良いだけですが、イベントを目的に沖縄や長野や北海道などを訪れていると、当日になって中止される事態にやりきれない気持ちを覚えます。

イベント開催には道路使用許可などの入念な準備が必要とされますので、当日の天候が悪ければ、次回の開催は一年後を待たなければならないことも少なくありません。

何度かイベントに参加しているうちに、天候が自由にならないのであれば、コースや日時のほうを調整して対応すれば良いのではないかと思い始めます。

こうなると徐々にイベントに参加するという意識が希薄になっていきます。

三点目のコースについては、毎年、ほぼ同じコースを同じ時期に走るので、一度、満足してしまうと、次からは決してコースにはならない周辺の峠道や行き止まりの岬などが気になりだします。

繰り返し同じコースを走ることで、自分の成長を感じることはできますが、ファンライドはレースではありませんので、速く走れることが良いというわけでもありません。

走り込んで自転車に慣れると、エイドステーションの数も4分の1(80-120km に1箇所)ぐらいで十分に思われてきますので、たくさんの参加者と一緒に走る必要もないかなという気もしてきます。

というのも、日頃から東京都内のような劣悪な環境にいると、走りやすいコースを 100km ぐらい走行した程度では全く疲れません。

そもそも、日本の人口の3分の1以上を占める関東在住者にとっては、自宅から「まとも」なサイクリングスポットに行って帰ってくるだけで、ロングライドを完走する以上の距離を走らされることが普通です。

新宿から奥多摩湖まで最短で片道 70km もあります。

しかも道路は狭く、信号、路上駐車、左折車の影響で渋滞していることが当たり前。休日は東京を出発する始発列車まで登山客で混雑して輪行スペースなど存在しないことさえあります。

こんな場所でイベントと同じペースで休憩していては、最寄りの山や海岸の入り口に行って帰ってくるだけで日が暮れてしまいます。

それなら、せめてイベントの1日くらいは、安全で快適な道路を通りたいと願ってしまいます。

当然ながら、これは何年も走り込んでいてエイドステーションも見慣れているからこその意見であり、イベントに参加し始めた頃は 20-30km おきに休憩地点が確保されていることが非常にありがたかった記憶があります。

エイドステーションがたくさんあると、それだけ他の参加者とも話す機会がありますので、機材や練習場所についての貴重な意見を伺える機会も増えます。

参加人数が多いことも、レースのような多人数での走行に対しての貴重な練習機会になりますし、距離や獲得標高の数字から具体的な走行時間や疲労感をイメージできるようになるまでは、コースのルートから得られるものも多々あります。

なにより、自分のまったく知らない地域のイベントであれば、その地域の定番コースを手軽かつ安全に体験できて、現地の知り合いまでできます。

「もう来年はいいかな」と思えても、参加してみるとやっぱり楽しいものです。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

Contact Us