Android 開発機としての Kindle Fire HD

日進月歩で進化していくモバイル OS。

消費者としては3年前から大きく変化していないように見えても、開発者としては AsyncTask に Kotlin synthetics に JCenter にと もういい加減にしろと言いたくなるほど 仕様変更がつづき、安定して動作していていたアプリが非推奨技術の塊になる場面や、想定通りに動作しなくなっていく現象を目撃する機会が増えてきました。

Android 端末は低価格で高機能を提供する反面、その旬の期間は極めて短いと思えます。毎日のように酷使して、落下して故障させる可能性もそれなりにある携帯電話であれば、およそ2年ごとに機材ごと新製品に交換するので、それでも良いかもしれません。

ところが、タブレット端末を対象としたアプリ開発では、そんなに頻繁に OS が更新されることは手放しで歓迎できることではありません。

タブレット端末はそれほど頻繁に買い換えることはないからです。

それにもかかわらず、Android タブレットは、一定期間を過ぎると販売が終了して市場から姿を消します。

タブレット向けのアプリ開発を行っていると、正常動作することが確認されている機種を定めても、それが数ヶ月から1年ぐらいの頻度で販売終了してしまう光景に飽きるほど出くわします。

そして、手元には OS アップデートから取り残された端末が、延々と積み上がっていきます。

そこで開発してきた Android アプリ資産を活用できる端末として目に着けたのが Amazon Kindle Fire HD です。

これは Fire OS という Android をフォークした OS で動作するタブレット端末であり、ただでさえ安価な Android タブレットよりもさらに安価で、長期間に渡って供給が安定しているロングセラー商品という特徴を持っています。


Fire HD 8 タブレット ブラック (8インチHDディスプレイ) 32GB

これはアプリの動作環境としては非常に魅力的です。

なにしろ、2019年製のどこのメーカの OS verion X.X でアップデートされているものなどと細かく仕様を見ていかなくても、「最新の Kindle Fire であれば正常に動作します」と言い切ることができるようになるからです。

しかも、米国や中国などの特定の国でしか販売されていないような端末とは異なり、Kindle Fire であれば全世界共通の仕様なので、検証機とユーザの動作環境との差異をより一層、小さくすることが可能となります。

その上、ただでさえ安価な Android タブレットよりも、さらに価格が抑えられている点も見逃せません。




その一方、純正の Android 端末とは異なる OS で動作しているので、位置情報やメッセージングなど互換性がない機能があるほか、Fire OS のアップデート期間の影響から 2021 年 12 月現在 API Level 28 (Android version 9.0 相当) 以降に実装された最新の機能は使えないという制約があります。

Google Play Store で提供されるアプリの検証機としては適当とは言えません。

しかし、最新の機能も Google Play Store の利用も想定していない場合、たとえば飲食店などで利用できるメニュー注文アプリなどを製作する場合には、選択の余地があると私は考えます。

実際に Fire HD 8 タブレット 32GB (10th generation, Fire OS 7.3.2.2) を購入し、独自に Android Studio から作成したアプリをインストールしてみたところ、内蔵のカメラも加速度センサも Bluetooth (5.0 LE) 通信も問題なく利用できました。

Android 端末と比較すると操作性に若干の違いがあったり、デバイス仕様が分かりにくいところにあったりとやや癖があるものの、用途次第では十分に Android タブレット代替機になりうる存在だと個人的には思います。


Fire HD 8 タブレット ブラック (8インチHDディスプレイ) 32GB

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