ミニベロとクロスバイクはどちらを選ぶべきなのか

日常の足や通勤、通学にもちいる自転車の定番と言えば、クロスバイクです。

セール品や旧モデルを狙って購入すれば 5 万円前後から始められる価格帯。室内保管などの繊細な扱いが要求されない頑丈さと耐久性。

それなりに優秀な走行性能など、気軽に乗れて、近所に行くような目的に用いるのに最適です。

同じような目的で用いられる自転車にミニベロという車種があります。

これは車輪のタイヤ径がおおよそ14 インチから 20 インチ程度の小径車のことで、折りたたみ機構を有していることも少なくありません。

私の場合、もともと日常の足としてはハードテイル MTB を流用していたのですが、住環境の変化に伴い、ほかの自転車が欲しくなりました。

そのときにクロスバイクとミニベロのどちらを購入するか、悩んだ末にクロスバイクを選択しました。

それから1年後にクロスバイクを手放して、ミニベロを購入することになったので、どちらのメリット、デメリットも当事者として実感しています。

特別な理由がなければクロスバイクが無難

結論から述べると、特別な理由がない限り、クロスバイクのほうが潰しが効くので購入後に後悔する可能性が少ないです。

同じ価格帯で比較するとクロスバイクのほうが軽量で、走行性能が高く維持費も安く、加えてメンテナンスも容易な傾向があります。

これはクロスバイクには SHIMANO や TEKTRO, microSHIFT などのコンポーネントメーカー製のブレーキやレバーが使用されているためです。

自転車メーカー各社はそれぞれ個別にフレームの設計、製造などを行っていますが、共通のクランクや変速機を搭載できるように互換性が担保されていることがほとんどです。

この規格も大きく変化していないため、大量生産によるスケールメリットが十分に活かされています。

それに対するミニベロは、車種ごとにタイヤのサイズから変速機構まで千差万別です。

共通点と言えば、一般的な自転車と比較して車輪が小さいことぐらいで、個々の車種ごとに設計思想も運用方法も異なる自転車が一括りにされているのが現状です。

なかにはスポーツ自転車と同一のコンポーネントを搭載したモデルもあれば、小型化を至上命題にしているモデルも存在します。

そして、その多くが理想を実現するために、その車種に固有の専用部品を備えています。

それは折りたたみ機構の一部であったり、変速機であったり、あるいはホイールやケーブルなどの消耗品であったりします。

これらはメーカー専用品なので、一般的に価格が割高だったり、入手性や整備性があまり良くなかったりする傾向が見受けられます。

比較すると、搭載されているコンポーネントの規格が統一されているクロスバイクのほうが維持や整備が楽だと思えてくるわけです。

ミニベロに折りたたみは必要か

それではミニベロを選ぶ理由とは何でしょうか。

デザインが気に入った、身長が合わない、身長差がある大人と子どもで一台を共有するなど、さまざまな理由があげられます。

個人的には小さく折りたたんで、ロッカーに入れられたり、手荷物として預けられる点に一番の魅力を感じます。

ミニベロにとって、最も大切なのは折りたたんだときの体積質量だとさえ思えます。

逆に言えば、折り畳めないミニベロは私にとっては無用の長物です。

いくらロードバイクに見劣りしない走行性能を持っていようが、さまざまな地形に対応できる変速性能を誇ろうが、気軽に持ち運びできて、使わないときは荷物として収納できないミニベロには魅力を感じません。

むしろ、持ち運びの際の体積を小さく、構造を簡単にできるなら、ミニベロに変速機能なんて必要ないとさえ思えます。

こう言い切るのは、地平線まで見渡せるぐらいの平野で交通機関が貧弱、なおかつ盗難が多い地域に私が住んでいる(引っ越した)からです。

一般的にはミニベロは折りたたまれないことの方が多いと聞きます。

走行性能を重視した 20 インチ前後のタイヤ径のミニベロは折りたたむと横幅が広くなり、荷物として収納したり、持ち運ぶ際にかえって不便になることもあります。

こうした理由からか、スポーツタイプのミニベロの中には、敢えて折りたたみ機構を搭載していないモデルも存在しています。

専用部品が多い、折りたたみ機構を搭載しているために構造が複雑化する(重くなって軽快さが薄れたり、部品点数の増加に従って故障箇所が増える等)といったネガティブ面を解消でき、ロードバイクやクロスバイクと同じ感覚で運用できるので、折りたたむ必要がないか、頻度が低い場合には、こちらを選んだほうが満足度が高いかもしれません。

すべてを高水準で満たすのは難しいので、折りたたみ機能を重視するのであれば、変速や走行性能に過度な期待はしない。

走行性能や耐久性を重視するのであれば、複雑な折りたたみ機構は無いほうが良いかもしれないといった割り切った視点で選んだほうが、おそらく失敗する可能性は下がります。

クロスバイクにできてミニベロにできないこと

ほとんどのクロスバイクは 700C という規格のタイヤを履いています。

この規格は世界標準なので、駅や駐輪場に設置されているほぼ全ての自転車ラックを利用することが可能です。

市販されているタイヤの種類も数多いので、用途や季節などによってタイヤを履き替えてカスタマイズすることも容易です。

ホイールのリムやシートクランプなどの部品も市販品で代用することが可能な場合が多く、フレームや変速機のハンガーといった特殊な部品を除けば、ほとんどの部位は自身で交換修理できる可能性が高いです。

ミニベロにできてクロスバイクにできないこと

クロスバイクは折りたたんで持ち運んだり、室内保管したりすることに向いていません。

ロードバイクと比べて重く、ハンドルのせいで横幅があるので、専用バッグにいれて電車に乗せる(輪行する)気にもなりません。

市販のクロスバイクのハンドル幅が 400-600mm のところ、日本の鉄道駅の標準的な自動改札は幅 550-590 mm となっています。米国や中国の地下鉄ではもっと狭いところもあります。

これがミニベロなら、大きいモデルでも 800 x 700 x 400 mm 程度の体積に収まります。

小さなモデルであれば、通勤先の事務所の机の下に収納することも可能です。防犯性が比較になりません

もちろん、自家用車に積んだままにしておくという運用も無理なく行えます。

ただし、気をつけなければならないのは、ミニベロは小さくなっても軽くはならないことです。

多くのモデルが質量 8.0-12.5kg の範囲に収まりますが、並のクロスバイクの重さも 11-12kg 程度である場合が多いです。

持ち運びが楽になるわけではありません。

走行性能に差はあるのか

多くのミニベロの謳い文句に、クロスバイクと同等程度という表現が用いられます。

同じ材質をもちいて、同じ構造を採用しながら、まったく体積や質量が違うので、物理法則上、同じになるわけがないのですが、なぜか好んで用いられます。

決して同じではないですが、ミニベロの走行性能については、そこまで気にしなくても良いというのが本音です。

そもそも、耐久性重視の実用車であるクロスバイクの走行性能は、それほど高くありません。MTB やロードバイクなどのスポーツ車に乗りなれていると、踏めば一瞬でクランクの剛性の低さ、回転の渋さが分かります。

引き換えに長期間メンテナンスフリーの防水、防塵性能を備えているので適材適所といったところでしょう。まさに実用車です。

そして、実用車として用いる上では、ミニベロはクロスバイクと同じにはならなくても、似たような運用は可能なので、とくに支障はないわけです。

唯一の注意点は、ミニベロの多く、とくに折りたたみ機構を備えたモデルは変速機能が貧弱なことが多いので、斜面地での運用は難しいかもしれません。

人口集中地区の傾斜地が一定面積以上ある都市に横浜市、広島市、北九州市、神戸市、川崎市、仙台市、福岡市、京都市など結構な数の政令市が該当しているので、ミニベロの使用に適さない地域にお住まいの方も珍しくないはずです。

最初から電車に乗せる前提で、丘陵地帯は輪行によって自転車を荷物として運んでしまうなら問題ないかもしれませんが、駅までの道のりが急な坂道だったりすると、限られたギア比で運用するのは難しいかもしれません。

この点、クロスバイクはフロント 3 x リア 8 枚の幅広いギア比を有しているので、坂道に強いと言えます。

結論

環境に適した道具を使うことが最も快適です。

私がクロスバイクを購入したときは、人口 500 万人以上の大都市の中心部に住んでいました。徒歩4分の距離に地下鉄の駅もあり、徒歩での生活でも困ることはありませんでした。

そのため、用途としては少し遠くまで散策してみたり、専門的な店に行ってみたりする際の移動手段に限定されていました。

現在は住環境が変わり、最寄りの交通機関まで(行くまでも、行った先でも)徒歩 5-15 分ぐらい掛かることが普通になってしまったので、持ち運びしやすくて、防犯性の高いミニベロの方を重宝するように変わりました。

当たり前ですが、色やデザインが気に入ったなどの特別な思い入れがない限りは、使用用途にあったものを選ぶことが最良です。

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