環境についての不満がなくなると書くことがなくなりますね。
今年は1ヶ月あたり 600km ほど走行しています。
獲得標高は毎月 12,000m 超えです。長距離をまとめて走るというよりは毎朝のように低山を登っています。
距離が伸びないのでチェーンやブレーキパッドなどの消耗品は交換時期に達していません。その中で唯一交換している部品がタイヤになります。
今年のタイヤは Panaracer AGILEST です。
既に知られているように軽量でよく転がり、入手性も非常に高い、おまけに(円安も加わって)価格も安いと、言うことなしの優等生です。
正確には AGILEST ブランドには種別と目的ごとに7種類のラインが存在します。
転がり抵抗の最小化を目指したプレミアムモデルの FAST、軽量モデルの LIGHT、耐久性・耐パンク性能を重視した DURO とスタンダードモデル。DURO とスタンダードの TLR (チューブレスレディ) モデル。そしてチューブラーモデルとなります。
ロードバイクタイヤ AGILEST (アジリスト) パナレーサー株式会社
https://panaracer.com/sp-content/agilest/
私が使用しているのは、もっとも入手性の良いスタンダードモデル 700×25C (ETRTO 25-622) です。
使用ホイールは内幅 17mm なので、メーカーの推奨品は 700×23C (17-622) となりますが 25C でも互換性があり使用可能です。
貫通パンクでやらかして2本を廃棄しているので、現在は前後2本づつで計6本を使い潰しています。
走行距離が少ないので、この結果は意外に思われるかもしれません。
じつは AGILEST は擦り減りやすいタイヤで、使用環境にも左右されますが前輪はおよそ 3,000 – 4,000 km 程度、後輪は 2,500 – 3,000km 程度で性能の寿命を迎える印象です。
溝のないスリックタイヤなので、製品としての寿命はもう少し長持ちするかもしれませんが、スリップサインはその辺りで怪しくなってきます。
もとより厚みの薄い競技志向のタイヤなので、限界まで使い込むよりは早めに交換したほうが良いと思われます。
薄い上にトレッド面も柔らかいのか、雨天走行で山道を走ると容易に異物が食い込みます。
私の場合は走行距離の半分が平均斜度 9% の山道周回なので、2,000km も走った頃には後輪に何箇所も異物が刺さっています。
これでも耐パンクベルトは貫通していないので走行可能ですが、衝突事故で砕けた自動車のフロントライトや長さ 200mm 以上の金属片になると、さすがに耐パンクベルトを貫通してチューブに達します (実体験)。
ただし競合製品で何度か経験していたサイドカットは一度も発生していません。
あくまで柔らかいのはトレッド面で、サイドにはそれほど不安を感じない印象です。
時速 50kph 超のダウンヒルでも走行が安定するので、もしかたらあまり変形しないタイヤなのかもしれません。走り出しやコーナーリングで体重を乗せると変形の少なさを実感できます。
ちなみにダウンヒル中に安定することは、このタイヤの長所の一つです。ちゃんと曲がれます。 50kph 超でも挙動がおかしくなったり、暴れたりしません。ウェット路面のダウンヒルでも、泥などでスリップしない限りはちゃんと曲がれるタイヤです。
止まれるかどうかは競合製品と比較するとそれほど制動力の向上を実感できるようには感じません。路面が荒れていると割と跳ねやすいのもあるかもしれません。
このタイヤの真価はどちらかというとダウンヒルよりもヒルクライム時に発揮されます。
走り出しが軽くて、とにかくよく登ります。加速が良いです。エンデューロよりもタイムトライアルやヒルクライム向きの印象です。
この加速の良さには本体が軽量であることも一因でしょう。
前述の通り、AGILEST には LIGHT という軽量モデルも存在しますが、スタンダードモデルでも競合製品と比較すると十分すぎるほどに軽量です。
おそらく AGILEST ブランドで目指している方向性は、どちらかと言えば DURO よりも LIGHT のほうに重きを置いていると考えられます。
軽さは正義なので長時間、長距離の使用に適していると言えなくもないですが、快適な乗り心地を目指したタイヤでもないので、その用途で用いるなら私は Continental Grand Prix 5000 を選びます。
もちろん、比較対象が GP5000 になる時点で、極めて総合評価の高いタイヤであることに間違いはありません。
AGILEST はどちらかというと「進む!」という感触のタイヤなので、スピードに乗せる使い方に向いています。高速域でもきちんとグリップして曲がれるので安心して踏み込めるタイヤでもあります。
雨天時でもグリップ性能は問題ありませんが、濡れると異物をよく拾うので全天候型の印象は薄いです。
総評すると、短時間で高負荷のトレーニングを行うのに適しているので、現在の山道周回コースを走るのにとても都合が良いです。