OpenProホイール入院

台湾へのヒルクライム遠征にて、完走と引き換えにタイヤが深刻なダメージを受けた訳ですが、実はホイールもタイヤと同等、もしくは、それ以上に深刻な状態に陥っていました。

ホイールはそもそもレースが始まった時点で既に縦・横両方向に振れていたのは先述の通りなのですが、70kmにも及ぶヒルクライムレースとその後のダウンヒルにより、真円を維持する事を放棄した感があるほどに歪みました。

その歪み具合と言えば、3本ローラーに乗せて走ると、路面の凹凸もないのに上方向への突き上げを感じるほどです。

しかし、困った事に調整可能な普通のホイールでもないので、西日本某所にある馴染みのショップへと送付する事となりました。

どの辺りが調整不可能なのかと言いますと、まずスポークテンションが尋常ではありません。完組並みとの評価を頂いてますが、このテンションメーターによる計測ではそれを超越しています。

その状態で、アルミニップルを使用しているので、下手に弄ると簡単にネジを舐めてしまいます。

加えてDTスポークを使用しているのに、何故かニップルの幅が PARKTOOL SW-0C を始めとするDT用のニップル回しと適合しません。

最後の一つを除けば、私の宗教的な理由から意図的にそうした訳なのですが、これだけ条件が重なって手出しができなくなっています。

と言うか、何だこのニップルは

自分で調整を試みようと近隣の大型店舗に前輪を持ち込み、適合するニップル回しを買い求めようとしましたが、正確なニップルの出自が判明せず、店員さんが困惑する事態に直面したので止むを得ず、元のショップへと東京から空輸する事と相成りました(ニップル回しの代わりに予備のチューブラータイヤを購入しました)。

3本ローラーを除けば、最近、ろくにライドに出掛けずにランニングに手を出しているのは、普段履きのホイール と遠出する時間 がない為です。

この機会に円高を利用してキシかゼロ辺りを買っておけば良いのかもしれませんが、いつものアルミ不信が祟って、気がつくと見ているのは DT 240s と言う具合。

ステンレススポークの Dura-Ace WH-9000-C24-CL は最も理想に近い良いホイールですが、普段使いする目的ではスポーク本数が少なめなので悩みますね。

レース機材としては正しいと思いますが。

今すぐに購入しても届くのは当分先という事情もありますし、それ以前に在庫がないモデルが目立つ事が判断を難しくします。

しばし、常用ホイールがない日々が続きそうです。

ロードバイクのディスクブレーキ採用に思う

Dura-Ace 9100系の発表から1週間ほど経過していますが、9100系での採用をもって、今後の普及が期待される油圧ディスクブレーキについて思っている事を書きます。
私の周辺ではクランク一体型パワーメータの方が話題性が高いのですが、こちらについての反対意見は目にした事がありませんので、気になるのは Sport Camera CM-1000 等の他デバイスとの連携がどうなるのかぐらいです。
対して油圧ディスクブレーキの採用については、仮に Paris-Roubaix の不幸な事故がなかったとしても、賛否両論あり、評価が分かれるところなので、思いつく限りのメリット、デメリットを書き出して整理してみたいと思います。
かつて、私はロードバイクへのディスクブレーキの採用を歓迎していました。
単純に制動力が高く、リムブレーキと比較して天候による性能劣化が少なく、リムへの磨耗が少ない事によるホイールの長寿命化が期待された事が主な理由です。
ディスクブレーキの普及は、カーボンホイールの最大の弱点である ブレーキ熱による破損のリスク雨天時の制動力の低さ を克服し、高性能なカーボンホイールをより身近な存在にするものとして期待すらしていました。
自転車のホイールの構造について調べていくにつれ、しかし、そのメリットを理解しつつも、ロードバイクにディスクブレーキを採用する事に対して、少しばかり懐疑的になってきたのが正直なところです。
リムブレーキと比較してディスクブレーキは、ホイールのスポークにストレスの掛かる構造をしている事は想像に難くありません。
Dura-Ace 9000 C35 などのホイールで採用されているラジアル組は、


ディスクブレーキのホイールでは見られないのはもちろんですが、(特にフロントの)スポーク本数自体も現状のように少なくするのが難しくなる事が容易に想像できます。
言い換えると、ホイール重量、空力的に現状よりも良くなることはありません(他にも左右のバランスや剛性なども気になりますが、実物を見ていないので取り敢えずは割愛します)。
ホイールの回転速度を考えると空力という要素も無視できないのではないかと最近では考えておりまして、これに重たいディスクブレーキが組み合わさると加速の面では相当不利になるのではないか…というのが気になっている点です。
もちろん、そこまで高速では走らないユーザーにとっては、天候に関わらず 安定して大きな制動力を得られる という絶対的なメリットが得られます。
例えば、市街地で通勤に用いられる例などですが、信号ストップが多発するのでスピードの出しようがありません。こうした目的に対しても、軽いカーボンホイールを(磨耗を気にせず)日常使用できるというメリット(夢)があります。
しかし、何のデメリットもないかと問われると、ホイールやブレーキに対して今まで以上に繊細な扱いが要求されるという問題が残ります。
何かしらの衝撃を与えられたり、組み付けが不完全である場合、ディスクブレーキのローターとブレーキパッドは容易に接触します。
接触したら歪むディレイラーハンガーを扱うのと同様の慎重さで、ブレーキを取り扱わなければなりません。輪行時に気を遣う必要があるのはもちろん、車体の転倒落車 にも細心の注意を払う事が要求されます。
こうした特性を考えてみると、否定派の意見も妥当なものが多く、当初、私がナイーブにも想定していたような万能機材でない事は明らかです。
そうした特性を理解した上で、ディスクブレーキを選択する事によるメリット・恩恵を受けられるのは、どのようなユーザーなのでしょうか。
私なりに少しばかり考えたところ、以下の2つのユーザーが思い浮かびました(誤解しないで頂きたいのは、私はディスクブレーキという選択肢が増える事自体は歓迎しています)。

  1. 通勤で乗られる方/ロングライドなどで長距離を乗られる方
  2. アルミとカーボンのホイールを同じバイクで使われたい方

1番の前者と後者は異なる存在である事は理解しておりますが、原則として目的地まで自走を完遂させねばならない事、ディスクブレーキの採用で受けられる恩恵が同じである事から同じグループに含めました。
ディスクブレーキは制動力が高いだけでなく、ブレーキ操作(コントロール)も楽である というメリットがあります。
疲れていても乗らなければならない通勤ライドや、疲弊したロングライドの後半では、これほど頼もしい事はありません。
2番で想定しているのは、1つのフレームで複数のホイールを履き替えたい場合です。
保管場所などの理由から1台で何でもこなしたいという場合、ブレーキシューに頭を悩ませなくて良い分、構造的にはディスクブレーキの方が自由度が高いと見て良さそうです。
対応するホイールの種類が増えてくれば、それ自体がディスクブレーキを選択する理由の一つに成り得ます。
レース、または、それに準じた強度の走行を前提とした Dura-Ace というブランドで発表されたからには、ダウンヒルでもメリットを存分に発揮して活躍してもらいたいのが本音です。
現状ではホイールの剛性が不明なので、本命と思われたダウンヒルでの利用については判断を保留しています。
リム側面のブレーキ性能を考慮しなくても良い分、ホイール外周部の設計の自由度が高まり、リムの軽量化と個性化が進む事が期待されますので、ディスクブレーキ専用に設計されたホイール(リム)が一般的になった時、本当の意味でディスクブレーキのメリットが得られるのかもしれません。




チューブラータイヤに初挑戦

カーボンホイール Reynolds AERO 46 に装着する為のチューブラータイヤとして、Competition チューブラータイヤ を購入しました。

Reynolds AERO 46 はリム幅が25mmもワイドリムなホイールなので、リムに合わない細いタイヤを付ける訳にはいきません。

公式でも22mmよりも細いタイヤを使わない事を推奨しています。

ご存知の通り、クリンチャーの場合は 700 x 23c が標準的なタイヤの太さとなるのですが、チューブラーの場合はより細いタイヤが用いられる事が一般的です。

例えば、Grand Prix 4000S II チューブラータイヤ の場合、700 x 22c がよく見かけるサイズです。

リムが 25mm なので、タイヤもそれに合わせて 700 x 25c にしようとすると、選択肢が極めて限られてしまうのがチューブラーの不便なところ。

700 x 25c の限られた選択肢の中から、Continental Competition と Michelin Pro4 Service Course とで迷いましたが、最終的に LaTeX ラテフチューブの取り扱いが大変そうなので、前者を選ぶ事にしました。

バルブエクステンダーを付けなければならないディープリムなので、余り頻繁に空気圧を気にしたくないのです。

そんな面倒なチューブラーですが、タイヤ自体の構造もまた複雑です。

チューブが縫いこまれているとは聞いていましたが、トレッド面の反対側、ホイールのリムに接触する部分を見ると布地になっていて、本当に糸で縫い付けてありましたΣ(゚д゚;)

さぞかし重いのだろうなと計測してみたところ、出てきた数値は意外に優秀。

700 x 25c のチューブ込みで 276g です。これがどれくらい重たいのか。試しにうちにたくさん転がっている Grand Prix 4000S II と比較してみます。


チューブなしの 700 x 23c でこの数値なので、チューブラーの軽さがお分かり頂けると思います。

そもそもホイールのリムを軽量に、構造を単純にできるので、その点だけでも圧倒的に優位です。

工業製品において軽さとシンプルさは正義というのは揺らぎません。




では、何故、クリンチャー全盛になっているのかというと、やっぱり面倒なんですよね。

自分でリムセメントを使用してみて思いました。これは流行らないと。

チューブラータイヤの中でも、はめるのが難しいらしい Competition ですが、馬鹿力で押し込んだら入りました。

そのまま、空気を少し入れて、72時間ほど放置してタイヤをホイールに馴染ませます。

感覚的にはタイヤが伸びて入りやすくなりそうな気がするのですが、そんな事はありませんでした。

タイヤの取扱説明書の指示に従って、一度、馴染ませたタイヤを外したら、ホイールにパーツクリーナーを吹いて脱脂します。

新しいホイールを買って、リムセメントを塗る際にはこの工程は必須らしいです。

タイヤを外した機会に振れ取りも行おうと、スポークレンチ PARKTOOL SW-15C も一緒に用意しました。

Reynolds Assaultに使えるとここに書いてありましたが AERO にも使えます。

シンクロバルブエクスタンダーの方はリングが割れて空気が漏れるので、結局、使わずに付属で付いてきたパイプ状のエクステンダーを使う事にしました。

Reynoldsはリムの加工精度は非常に高いのですが、タイヤを剥がさないと振れ取りできないなど、チューブラーとしては面倒な事が多いです。

主力商品であるカーボンクリンチャーの設計をそのまま使っているからなんでしょうかね。


このメンテナンス性の低さは、珍しく失敗したかなと実感せざるを得ません。

フレームの選定にはケーブルは外装、BBはスレッド式で、素材はカーボンという具合にメンテナンス重視で厳しく条件を指定していながら、実にお粗末ですね。

Reynoldsではカーボンクリンチャーでの対熱処理の実績と保証体制を買っているので、接着が終わったら乗り倒して使用感を見てみます。

続く

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