ロードバイク用ディスクブレーキは交換して良いか

ロードバイクにディスクブレーキが搭載されるようになってから、ブレーキパーツのカスタマイズも議論されるようになりました。

業界最大手でデファクトスタンダードとなっている SHIMANO では、走行性能を重視した軽量薄型のディスクローターを搭載しています。それを実現するための独自の放熱機構などかなり攻めた設計を追求しているのが特徴です。

一方でカスタマイズに用いられる互換製品は、より高い耐久性や音鳴り(熱膨張)の少なさ、悪天候時における安定した制動力、運用コストの低さなどの別の面で優位性を確立しているものが多い印象です。

こうした互換製品を使用したくなった場合、思わぬ問題点が生じることがあります。

もちろん互換製品なので、使えるか使えないかで言えば、規格やクリアランス的には多くの製品が使用可能です。

ところがそのまま部品を外して交換すれば良いかと言えば、そう簡単にはいかない場合があります。

問題になるのはローターとパッドの多様性です。

まずローターについて、一目でわかる違いとして6ボルトとセンターロックという取り付け方法の違い、140mm と 160mm というローター径の大きさの違いがあります。

6ボルトからセンターロックへはアダプタを噛ませれば使用できる場合がありますが、その反対は物理的に不可能です。

ローター径については特定のローター径しか使用できないフレームが存在します。たとえば、フロント 160mm リア 140mm といった具合にローター径が指定されている場合です。

こうしたフレームでは指定されている大きさ以外のローターは使用できません。

また、カタログに出てこない違いとして、ローターの厚みというものがあります

完成車に付属していることが多い SHIMANO 160mm ローターの初期厚みは 1.8mm です。

同じく最近の完成車に多く搭載されている SRAM 160mm ローター は 1.85mm と厚めです。140mm ローターは更に厚みがあり初期値で 1.9mm あります。

こうした厚みの違いから、主として SRAM 互換を目指しているローターを SHIMANO 互換キャリパーで用いる場合にはクリアランスや取り付け位置を調整する必要がでてくることがあります。

取り付けられるからといって、本来は想定されていないローターとキャリパーの組み合わせで使用していて、本当に問題が起きないのかという疑問は残ります。

想定されている使用限度もメーカー毎に異なるためです。

とくに2種類以上の金属板を張り合わせたような構造をもつローターを使用する場合には、使用限度をどこに合わせているのか気になるところです。

SHIMANO と HOPE は 1.5mm まで摩耗したら交換のところ SRAM では 1.55mm での交換となります

ローターを挟み込むブレーキパッドも多種多様です。

こちらも記載されない違いとして Narrow (狭) タイプと Wide (広) タイプという2種類が存在します。これをきちんと区別して記載しているメーカーは知っている限りでは SHIMANO ぐらいです。

そもそも SHIMANO が提唱した規格だからなのですが、オフロード界のディスクローターにはそれぞれに互換製品が存在しているために紛らわしいです。 160mm ローターも 140mm も市場に流通しています。

やろうと思えばロードバイクにも装着できてしまうので、素人が通販などで購入する場合には注意が必要です。

何が違うかというとパッドの幅が異なります。これは対応しているローターの有効半径が異なるためです。

ロードバイクのブレーキパッドは基本的には2ピストンの Narrow タイプなので、使用不能なローターはあまり無いかもしれませんが、ロードバイクで使っていたローターをクロスバイクに導入しようとした場合などに問題が生じるかもしれません。

同じキャリパーで使用することを想定されている Narrow タイプのパッドでもメーカー毎に違いがあり、厳密には互換性はあっても本来の性能を発揮できていない組み合わせが生じる可能性もあります。

SRAM

Swiss Stop

LifeLine

その反対にわかりやすく記載されている違いとしては Oragnic と Sintered と Semi-Metallic というパッドの種類があります。

Oragnic はレジン、Sintered あるいは Metallic は金属パッドと同義になります。ケブラーやゴムなどを樹脂で固めたものが Organic の正体です。

Sintered は金属粉をそのまま焼結 (sintered) させたもの、Semi-Metallic は両者をハイブリッドしたものです。

レジンパッドのほうが使えるローターの種類が多い印象です。MTB の世界ではレジンパッド専用と記載されているローターも珍しくありません。

金属パッドは材料の特質からして樹脂よりすり減りにくいだけでなく、高温度でも制動力の低下が少なく、汚れにくいという利点があります。使用者によると音鳴りもしにくいそうです。

その反面、レジンよりも熱伝導率が高くキャリパーやフルードに負担が掛かるので敬遠されることもあります。

レジン、金属パッドともにメーカー指定以外の組み合わせでは異常発熱して、レバーを引いてもブレーキが作動しなくなることがありますので、基本的にはローターとパッドのメーカーは合わせる方が安全です

ローターとパッドの組み合わせの是非は、連続使用時にどれだけ摩擦熱を発生させるかで決まります。

たとえば、SRAM のローターはマルテンサイト系ステンレス鋼と思われるので、市販のステンレス製ローターで磁石がくっつくものなら純正パッドと組み合わせて使用しても問題なさそうな感があります(責任は負いません)。

問題は互換パッドで SRAM ローターを使用する場合で、こちらは先に述べたパッドの広狭の問題でローターのスパイダーアームを削る可能性が無いとは言い切れません

SRAM 純正パッドの幅が 14.05mm のところ LifeLine パッドは 14.22mm なので、後者に対応しているローターを SRAM パッドで削る分には有効範囲により生じる問題は起きないはずです。

その逆は実際に削ってみるまで分からないので、この意味でもパッドとローターの組み合わせはメーカーを合わせたほうが確実です。

ディスクブレーキの消耗品は、なまじ互換性があるだけに本来は使えない組み合わせが着いてしまったり、一時的に使えてしまったりすることがあります。

それが原因となって油圧ブレーキの動作不良や故障を引き起こすこともあるので、指定品以外を使用するのであれば事前によく調べて、不明瞭な点はすべて潰しておいたほうが良いですね。

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